品質工学会 日本規格協会理事長賞

第7回 品質工学会 日本規格協会理事長賞(2022年)

2022年5月23日
品質工学会 審査表彰部会

授賞の背景

 [品質工学会日本規格協会理事長賞] は,品質工学に関連して広く日本の標準化活動に貢献すると考えられる成果に対し,一般財団法人日本規格協会より贈呈される賞である。 自薦ないし他薦による応募の中から,品質工学の継続的実践と普及活動をとおして,社会ないしは企業・団体への貢献が認められる個人ないしは組織体に授与するものである。
 品質工学会日本規格協会理事長賞の本審査会を2022125日に開催し、下記の応募者に対して[第7回品質工学会日本規格協会理事長賞]の授賞を決定した。

受賞者

受賞者 福本康博(マツダ株式会社 正会員 会員No:11513)
推薦者 安達範久 (マツダ株式会社)

授賞理由

 福本康博氏は、品質工学の実践と普及において、長期にわたり精力的に取り組んでいる。現在、品質工学のトップ企業であるマツダ㈱において、福本氏は、同社の品質工学活動の立ち上げから、事例研究、学会発表や論文投稿、また、社外においては広島の品質工学研究会での普及活動など多岐にわたる活動を牽引しており、それらは、マツダ㈱の田口賞受賞に結実している。また、品質工学の社内外への実践・普及において、標準を理解し、継続的に精力的に取り組んできており、その活躍は多くの人が認めるところである。
 
1)マツダ㈱における品質工学活動の立ち上げ
 福本氏は、マツダ㈱の品質工学の立ち上げから現在に至るまで、継続して活用展開の活動を牽引している。
 マツダ㈱の品質工学は1993年から始まる。1995年に福本氏の事例「シェルモールド法におけるパラメータ設計」において、従来困難だった砂型の変位-荷重特性を評価することで造型条件の最適化を実現した。それをきっかけとして、生産技術での品質工学の活用展開が加速し、その後、2002年にはパワートレインなどの開発部門に活動を拡大し、現在のマツダ㈱の品質工学活動の基盤となった。
 また、2002年に、M-QE(儲かるマツダの品質工学)の活動を立ち上げ、品質工学の知見者として開発者を指導し、20072008年の大会受賞などの成果を獲得している。
 また、全社展開の体制作りにも関与し、2006年時点は、①品質工学の基礎と②インストラクター養成講座、加えて、③高難易度の課題を社外コンサルタントからご指導いただく品質工学応用講座(2講座)、の計4講座で全社の実力向上をバックアップする仕組みを構築。マツダ㈱社内において、品質工学が一般ツールに昇華するまでに成長させた。
 
2)品質工学の活用の普及・展開
・マツダ㈱社内
 マツダ㈱のこれまでの大会事例発表82件の中で、福本氏は20件の発表者となっており、1996から現在までの長期に渡りテーマ検討に関与している。受賞歴としては、2019年の論文賞金賞「フレームハード品質の安定化」、2021年の発表賞銀賞「パネル外観検査手法の構築」と実行委員長賞(13件の研究発表への受賞)がある。
 また、福本氏が指導したM-QE活動から、2007年の発表賞金賞「プレス部品の初物外観品質向上への取り組み -外観品質問題への品質工学的要請の検討」、2008年発表賞金賞「品質工学に基づく自動車サスペンション系のロバスト最適設計」、2008年発表賞銀賞「エネルギー評価によるスプライン転造システムの最適化」、の3テーマが受賞をしている。
 また、学会誌には、研究事例6件を投稿。それに加え、マツダ㈱の社内および社外(広島市地区)の活動を紹介した論説3編に参加しており、品質工学のトップ企業の活動を開示することによる普及にも貢献している。
 
・マツダ㈱社外 
 広島品質工学研究会に1993年からマツダ㈱のメンバーとして参加。1995年のシェルモールド事例以降に活発化したマツダ㈱が牽引する形で、広島地区全体の活動が活性化された。
 また、品質工学会以外への普及活動として、社外へのアプローチも積極的に行っている。
 

    • - 日経ものづくりセミナー講演:マツダにおけるタグチメソッドの導入展開 (2006)
    • - 中国地区品質経営協会セミナー講演:課題解決事例発表会 (2000)
    • - 標準化と品質管理:技術革新における品質工学の展開 (2006)
    • - 標準化と品質管理:事例研究「フレームハード品質の安定化」 (2014)

 
・田口賞の受賞 
 マツダ㈱技術本部は、2006年に第1回田口賞を受賞している。この受賞は、福本氏がリードして構築・展開した仕組みや、生産ラインへの種々な実践と成果、それを実現した組織的な取り組みが評価されたものであり、福本氏の田口賞受賞への貢献は大きい。
 
3)標準化への貢献
 福本氏の事例「カムシャフト鋳造条件の最適化(2001)」は、ISO16336:2014JIS Z9061:2016)の制定のリファレンスに採用されており、規格制定に貢献が認められる。
 また、品質工学の実践・普及を長期に渡って継続していることは、品質工学の標準化に対する効果があると考えられ、その点における活躍は多くの人が認めるところである。 
 
【今後の期待】
 以上のように、福本氏はマツダ㈱における活用展開と、それを通じた品質工学会全体の活動・普及に貢献をしている。今後は、これまでの事例研究の論文化を増やし、さらなる普及を進めることを期待する。
 また、マツダ㈱で普及が進んだ理由を研究・展開することで、品質工学の発展、ひいては日本の開発力の向上につながる活動を行っていただけることを期待する。

お問合せ

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  品質工学会事務局 金野(こんの) 

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