第17回 品質工学技術戦略研究発表大会(RQES2024A)

フロントローディングの核心とは何か?

開催概要

 第17回品質工学技術戦略研究発表大会(RQES2024A)を下記の通り開催します。品質工学会では「社会損失低減による社会の自由の総和の拡大」実現に向け、「これまでの品質工学の普及」および「今後の社会損失低減を図る研究」に取り組んでおりその内容について報告します。本大会は、昨年から技術戦略を徹底的に議論する場となるよう、発表と議論の時間を大幅に増やした新しいスタイルへ変更しました。参加者との議論にて各発表者の研究内容がより洗練されることを期待します
 
 品質工学における「社会損失低減による社会の自由の総和の拡大」の活動成果と今後の取り組みを議論することを目的に表記大会テーマを設定し下記の通り開催します。地球温暖化、自然災害、少子高齢化、社会インフラの老朽化、戦争やテロ、品質偽装など、多くの社会課題が存在する中で、品質工学はどのように社会貢献ができるのか,新たな方向性を模索する場の一つにしたいと考えています。
 品質工学の目指すところは社会損失の低減ですが,狭義の損失低減にとどまらず,同時に新たな価値の創造につながることが期待されています。ところが現状は、開発の効率化、継続的なMBDDXの実現に苦労している企業が多く窺えます。技術マネジメントとして品質工学をどのようにうまく活用していけるのか、先進企業の取り組み事例の報告も行い、これらをもとに「品質工学による社会損失低減に向けた具体的活動の提案」について議論を進めたいと思います。この議論の中で、フロントローディングの核心とは何かを明らかにし成果をつかみ取る開発プロセスを深く探求します。
 
 大会にご参加いただいた皆様の気づきに繋がることを強く期待します。

 
開催形態 実地とリモートのハイブリット開催 
日 時 2024年11月21日(木)10:00~17:00
場 所 統計数理研究所:〒190-8562 東京都立川市緑町10-3
TEL:050-5533-8500(代)  https://www.ism.ac.jp/
参加費 品質工学会員 10,000円,非会員 20,000円(定員200名になり次第,締切り)
ライブ配信とオンデマンド配信でのご参加も同額です
懇親会 統計数理研究所内 17:15~ (定員100名)定員になり次第締切り
(懇親会参加費 6,000円 懇親会のみの参加はできません。)
主 催 一般社団法人 品質工学会
協 賛 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所,(公社)計測自動制御学会,(公社)精密工学会,(一財)先端加工機械技術振興協会,(一社)中部品質管理協会,(一社)電気学会,(株)日刊工業新聞社,(一社)日本画像学会,(一社)日本機械学会,(一財)日本規格協会,(一社)日本合成樹脂技術協会,(公社)日本設計工学会,(一社)プラスチック成形加工学会,(一社)日本能率協会,(一社)日本科学技術連盟,日本クオリティ協議会,(NPO)日本TRIZ協会
 
 

参加申込

Web申し込みは以下のリンクからお申込みください。参加申し込みの締め切りは2024年11月8日(金) です。

プログラム

9:50 ~ 10:00 開会の言葉
佐藤 吉治(品質工学会会長)
10:00 ~ 11:00
(発表40分、議論20分)
研究発表1
 フロントローディングの全体像と課題
吉澤 正孝 クオリティーディープマーツLLP
11:00 ~ 12:00
(発表40分、議論20分)
研究発表2
 機能開発によるフロントローディングの実現
武重 伸秀 マツダ㈱
12:00 ~ 13:30 昼休憩
 13:30 ~ 14:30
(発表40分、議論20分)
研究発表3
 フィラーリッド開発のフロントローディング
三石直人  マツダ㈱
14:30 ~ 15:30
(発表40分、議論20分)
研究発表4
 T7活用のフロントローディングによる技術の創り込み
細川 哲夫  QE Compass,  森 富也  ETRIA㈱
15:30 ~ 15:45 休憩
  <総合討論>
15:45 ~ 16:55 パネルディスカッション「フロントローディングの核心とは?」
司会:吉原 均  NMS研究会
パネリスト:各発表者
16:55 ~ 17:00 閉会の言葉
浜田和孝 品質工学会副会長
 
 

セッション1


[研究発表1]
 フロントローディングの全体像と課題

吉澤 正孝 (クオリティーディープマーツLLP)

 近年、フロントローディングの有効性が多くの分野で注目を集めている。この概念は多くの場面で使用されている一方、その定義や理解に一貫性を欠いている。歴史を振り返ると、フロントローディングは1990年以前に日本における製品開発活動の一環として提唱され今日に至るものの、その全体像は十分に把握されていない。本研究では、1980年代後半からの文献を調査分析し、フロントローディングを体系的に理解するとともに、企業活動における価値創出に不可欠な基盤的活動として再評価を試みた。また、技術開発における戦略的方向性を明らかにし、品質工学の視点から機能性評価の重要性を再確認することで、今後の活動に向けた指針と課題を提示する。

[研究発表2]
 機能開発によるフロントローディングの実現

武重 伸秀 (マツダ㈱)
 
 弊社では100年に一度と言われる大変革期の中、大幅な開発効率向上が必要であり、SKYACTIV-Gエンジンの技術開発で構築した品質工学の考え方に基づく”機能開発”を応用し、製品企画前の技術開発へ商品開発をフロントローディングさせる取り組みを行っている。その実現は、技術開発に”機能開発”を導入すれば良いという単純な話ではなく、商品開発全体のやり方を変える必要がある。課題山積だったが少しずつ着実に進んでおり、本報では目指す商品開発のあり方、実現に向けた取り組み状況、そして今後の課題を整理し報告する。

 
[研究発表3]
 フィラーリッド開発のフロントローディング

三石直人 (マツダ㈱)

 
 製品企画前の技術開発に開発をフロントローディングさせた姿として、後工程である製品企画や詳細設計では技術開発のアウトプット情報のみでチューニングする開発を考えている。例えば現在の詳細設計ではCAEでパラメータ設計を実施し最適化しているが、このパラメータ設計を技術開発で実施して、その要因効果図を技術開発のアウトプットとし、それを用いて詳細設計すれば大幅な開発の効率化が実現できる。今後開発する新技術開発では実現可能だが、要因効果図が揃っていない既存技術についても情報を揃える必要がある。本報では既存技術であるフィラーリッドを具体例に、どのようにフロントローディングさせているかを報告する。

 
セッション2


[研究発表4]
T7活用のフロントローディングによる技術の創り込み

 
細川 哲夫 (QE Compass), 森 富也 (ETRIA㈱)

 
 自社の得意技術を活用した新たな価値を生み出す製品を継続的に提供することが日本製造業の経営課題である。この課題達成のために日本品質管理学会と品質工学会の共同研究組織である「商品開発プロセス研究会WG2」を発足し,技術に基づく継続価値提供のための仕組みである「技術開発プロセスを設計するプラットフォーム”T7”」を提案した。
 既存技術ベースの製品であれば作って直すアプローチも可能あるが,新規技術を活用した製品の実用化のためには製品設計前に技術を創り込むフロントローディングが必須である。本発表では過去の技術開発成功例を使ってT7活用の技術開発プロセスを紹介した上で最新の活用例を紹介する。

パネル討論

テーマ「フロントローディングの核心とは?」

司会:吉原 均(NMS研究会)
パネリスト:各発表者 

 
 本パネルディスカッションでは、フロントローディングの本質を明らかにし、成果を最大化するための開発プロセスについて、パネリストと共に深く掘り下げる。近年、デジタル技術の進化や市場の変動に伴い、企業は迅速かつ効率的な開発プロセスを求められている。このような背景から、フロントローディングは重要なアプローチとして注目されているが、実際に取り組んでいる企業はまだ限られている。
各パネリストの豊富な知識と経験をもとに、品質工学が提唱する「社会損失の低減」による社会貢献の新たな方向性を踏まえ、フロントローディングの核心について議論を深める。これを通じて、今後の品質工学の発展や、日本の技術・社会の進展に寄与できることを期待する。

これまでの開催履歴

大会についてのお問合せ

品質工学技術戦略研究発表大会に関するお問い合わせは, 品質工学会事務局までお願いします
  品質工学会事務局 金野(こんの) 
  ・mail rqes@office.rqes.or.jp

  ・ TEL (03) 6268-9355  ・FAX (03) 6268-9350