第18回 品質工学技術戦略研究発表大会(RQES2025A)
次世代新商品開発プロセスの考え方と技法を探る
開催概要
第18回品質工学技術戦略研究発表大会(RQES2025A)を下記の通り開催します。品質工学会では「社会損失低減による社会の自由の総和の拡大」実現に向けた研究に取り組んでおり、これまで大会を通じて議論を積み重ねてきました。
一昨年は、品質工学における社会損失の6領域、すなわち出荷後に生じる「機能のばらつき」「使用コスト」「公害」の3領域に加え、出荷前に生じる「方針損失」「プロセス損失」「オペレーション損失」の3領域を整理し、それぞれの具体的な低減に向けた研究活動の方向性を提案しました。昨年は、さらに技術開発の源流に遡る「フロントローディング」に焦点を当て、品質工学の考え方が新商品開発の上流で果たす役割について活発な論議を行いました。
本大会は、さらにフロントローディングの考え方をベースにしつつ、潜在的な顧客価値を探索し魅力的品質を創造する商品企画上流系の視点、商品開発プロセス・事業計画プロセス改善の経済価値を評価するプロセスマネジメントの視点、ステークホルダーと連携し出荷前損失を低減することを志向した商品開発プロセスの視点などに関する種々の研究を報告します。
近年、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展は、仕事のあり方や生活スタイルを根本から変え、これまでにないスピードで社会を進化させています。そのような環境の中、人生100年時代を迎えた私たちは、長く生きることを前提に、柔軟に学び直し、働き方や生き方を再構築する必要があります。
こうした時代背景のもと、変化を前提とした「次世代型新商品開発プロセス」の研究の必要性はますます高まっています。
参加者の皆様との活発な論議を通じて、研究内容をさらに洗練させるとともに、自社の商品開発に応用できる実践的な知見や、新しい発想を得る機会となることを期待しています。品質工学がどのように社会に貢献できるのか、その新たな方向性を共に探る場にしたいと考えています。
| 開催形態 | 実地とリモートのハイブリット開催 |
|---|---|
| 日 時 | 2025年11月21日(金)9:50~17:20(受付は9:20より開始) |
| 場 所 | 統計数理研究所:〒190-8562 東京都立川市緑町10-3 TEL:050-5533-8500(代) https://www.ism.ac.jp/ |
| 参加費 | 品質工学会員 10,000円,非会員 20,000円(定員200名になり次第,締切り) ライブ配信とオンデマンド配信でのご参加も同額です |
| 懇親会 | 統計数理研究所内 17:30~ (定員100名)定員になり次第締切り (懇親会参加費 6,000円 懇親会のみの参加はできません。) |
| 主 催 | 一般社団法人 品質工学会 |
| 協 賛 | 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所,(公社)計測自動制御学会,(公社)精密工学会,(一財)先端加工機械技術振興協会,(一社)中部品質管理協会,(一社)電気学会,(株)日刊工業新聞社,(一社)日本画像学会,(一社)日本機械学会,(一財)日本規格協会,(一社)日本合成樹脂技術協会,(公社)日本設計工学会,(一社)プラスチック成形加工学会,(一社)日本能率協会,(一社)日本科学技術連盟,日本クオリティ協議会,(NPO)日本TRIZ協会,(NPO)横断型基幹科学技術研究団体連合 |
参加申込
Web申し込みは以下のリンクからお申込みください。参加申し込みの締め切りは2025年11月7日(金) です。
プログラム
| 9:50 ~ 10:00 | 開会の言葉 |
|---|---|
| 佐藤 吉治(品質工学会会長) | |
| 10:00 ~ 10:30 | 本大会趣旨 「商品開発プロセス研究会における研究概要」 |
| 商品開発プロセス研究会 近岡淳(品質工学会副会長) | |
| 10:30 ~ 12:00 | 研究発表1 「顧客価値創造の上流工程プロセスの開発」 |
| 商品開発プロセス研究会 石津昌平(青山学院大学名誉教授) | |
| 12:00 ~ 13:00 | 昼休憩 |
| 13:00 ~ 14:20 | 研究発表2 「損失関数の新事業プロセス評価への適用研究」 |
| 商品開発プロセス研究会 山本渉 (慶応義塾大学教授) | |
| 14:20 ~ 15:50 | 研究発表3 「自動車産業の商品開発プロセスの現状と課題」 |
| プロセス損失低減委員会 武重伸秀(品質工学会副会長) | |
| 15:50 ~ 16:05 | 休憩 |
| <総合討論> | |
| 16:05 ~ 17:15 | パネルディスカッション:「次世代の新商品開発プロセスとは?」 |
| 司会:椿広計(品質工学会特別顧問) パネリスト:各発表者、山田秀(慶応義塾大学教授・JSQC会長)、 廣野元久(JSQC理事) |
|
| 17:15 ~ 17:20 | 閉会の言葉 |
| 浜田和孝 品質工学会副会長 |
本大会趣旨
商品開発プロセス研究会における研究概要
商品開発プロセス研究会は日本品質管理学会と品質工学会の合同研究会として2018年11月に発足した。企業の商品開発に関する技術とマネジメントの活動を対象として、その生産性向上を支援する総合的な汎用技術・管理技術システムを研究し構築することにより、社会全体の生産性向上に貢献することを目的としている。
魅力的品質を創造し、かつ当たり前品質を効率よく確実に作りこむ商品開発をどのように実現するか、そのための商品開発の源流から下流までのプロセス全体を俯瞰して、考え方とそれを支える技法を様々な視点で議論している。WG1ではフロントローディングの最上流であるデザインプロセスについて、SDL(Service Dominant Logic)を踏まえて、サービス価値の顧客共創を研究、WG2ではDFSSにおける技術コンセプト考案のステップをベンチマークにして、知の循環に資する管理技法を有機的に埋め込んだ効率的かつ創造的な新たな技術開発プロセスを研究、WG3では、新事業開発プロセスにおける事業評価指標として品質工学の損失関数を拡張し、その事業モデルにおけるプロセス上のマイルストーンにおける事業評価基準モデルと適用を研究している。WG2は昨年本大会で発表しており、今回はWG1とWG3の研究を紹介する。
発表概要
[研究発表1]
顧客価値創造の上流工程プロセスの開発
商品開発プロセス研究会のWG1ではフロントローディングの最上流であるデザインプロセスとして,SDL(Service Dominant Logic)を踏まえて,潜在的な顧客価値創造を創出するプロセスについて研究している.本WGでは顧客価値創造の最上流プロセスを,顧客との共創により仮説検証を行い,顧客の潜在価値を創出するプロセスとして研究してきている.本発表ではこの研究内容について報告するものであり,特に仮説検証のプロセスを顧客価値創造に結び付けるための視点としてPDCAや,サービスプロセス,実験,顧客モデルの内在化の視点について報告する.さらに,マクロな視点から顧客目標と仮説の斬新な発想を得るためツールとしてビジネスヒストリーマップとその活用方法を提案する.
[研究発表2]
損失関数の新事業プロセス評価への適用研究
商品開発プロセス研究会のWG3では,損失関数の考え方に基づく新事業の評価についての研究を進めている.そのためにリアルオプションの理論に基づく評価方法を導入すると共に,様々な損失を具体的に議論するためのトイモデルの開発を進めている.本発表では、新事業開発のためのリアルオプションの考え方を紹介する.そして品質工学会でもこれまで研究されてきたローパスフィルタを振り返りつつ,開発中のローパスフィルタを対象としたトイモデルを紹介する.
[研究発表3]
自動車産業の商品開発プロセスの現状と課題
品質工学会は2024年度にプロセス損失低減委員会を発足させ、今後の商品開発プロセスのあり方を産業ごとに整理し、課題達成に必要な研究を実施する活動を実施している。世界の産業構造が第二次から第三次に移行している中、日本企業には“ものづくりの効率を劇的に高めること”が求められており、その対応の考え方は、社会においては「産官学連携」、企業においては「商品開発のフロントローディング」および「DX」の3つと考えている。2024年度は日本の自動車産業を取り上げ、これら3つの考え方を考慮した目指す姿を描き、課題を整理した。その結果と2025年度以降の取り組みについて報告する。
パネルディスカッション
「次世代の新商品開発プロセスとは?」
商品開発プロセス研究会・プロセス損失低減委員会の研究成果を踏まえ、今、産業界として商品開発プロセスに取りこむべき考え方、それによって多様なステークホルダーが存在する商品開発プロセスがどのように変革されるのか、その変革を推進するトップマネジメントの在り方、学会はそれをどのように支援すべきかなどを議論したい。
これまでの開催履歴
| 研究発表大会 過去のプログラム一覧 |
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大会についてのお問合せ
品質工学技術戦略研究発表大会に関するお問い合わせは, 品質工学会事務局までお願いします。
品質工学会事務局 金野(こんの)
・mail rqes@office.rqes.or.jp