会告
名誉会員 矢野宏先生 追悼
本学会創立の際の発起人であり、また第 7代会長 (2008~ 9)でもあられました名誉会員の矢野宏先生が,2023年 1 月27日に逝去されました。
本学会に対する多大な御貢献に深く深く感謝申し上げると共に、ご冥福をお祈りし,謹んで哀悼の意を表します。
矢野宏先生のご経歴および御業績
略歴
1931年 東京府東京市(現新宿区)生
1956年 工業技術院計量研究所へ入所
1985年 同研究所 力学部長
1971年 「ロックウェルかたさ試験機の精度向上に関する研究」で東京大学より工学博士の学位を取得
1991年 宮城教育大学教育学部技術科 教授 (~1994)
1994年 電気通信大学電気通信学部機械制御工学科 教授 (~1997)
1999年 東京電機大学 客員教授 (~2007)
1997年 日本規格協会 参与、(株)オーケン 取締役副社長
2008年 応用計測研究所株式会社代表取締役
2008年 品質工学会 会長 (~2009)
2010年 品質工学会 名誉会員
学会役職歴
1993年 品質工学フォーラム設立発起人
1993年 理事、出版部会長 (~2001)
(1998年 協力学術研究団体に指定されたのを機に品質工学会に改称)
2002年 理事、出版部会 (~2005)
2006年 理事、副会長 (~2007)
2008年 理事、会長 (~2009)
2010年 理事、庶務部会 (~2013)
2014年 理事、出版部会 (~2015)
2016年 相談役 (~2017)
主な論説・解説
・矢野 宏, 品質工学を紹介しましょう(1) 大学における品質工学の講義, 品質工学, Vol.4, No.2, 1996
・馬場幾郎, 矢野 宏, 品質工学ことはじめ(1)~(3), 品質工学, Vol.4, No.6, ~, Vol.5, No.2, 1997
・岩田好弘, 岩月 央, 矢野 宏, 品質工学の揺籃期と今(1)~(2), 品質工学, Vol.5, No.4, ~, No.5, 1997
・松原秀之, 矢野 宏, トヨタ式計測システム設計の展開(1)~(2), 品質工学, Vol.5, No.6, ~, Vol.6, No.1, 1998
・花田心次, 松永孝義, 矢野 宏, 中小企業の生産技術と品質工学(1)~(2), 品質工学, Vol.6, No.5, ~, No.6, 1998
・滋賀県品質工学研究会, 矢野 宏, なぜ技術開発に品質工学が求められるか(1)~(2), 品質工学, Vol.7, No.5, ~, No.6, 1999
・矢野 宏, 原 和彦, 他, 技術者の在り方を巡って(1)~(2), 品質工学, Vol.10, No.3, ~, No.4, 2002
・矢野 宏, 技術の機能性の評価方法(1)一品質工学の研究の在り方について一; (2)一転写性の評価が生まれるまで一; (3)一エネルギー変換の場合一; (4)一電気的特性の場合一; (5)一強度的評価の場合一; (6)一化学的特性の場合一; (7)一機能性の評価の考え方一 , 品質工学, Vol.11, No.6, ~, Vol.12, No.6, 2004
・矢野 宏, 学校における技術教育の試み(1)一宮城教育大学の場合一; (2)一東京電機大学の場合一, 品質工学, Vol.13, No.2, ~, No.6, 2005
・矢野 宏, 品質工学とパラダイムシフトとの対応(1)~(3), 品質工学, Vol.14, No.1, ~, No.3, 2006
・矢野 宏, 品質工学特論講義録1~13, 品質工学, Vol.15, No.1, ~, Vol.18, No.3, 2010
・矢野 宏, 品質工学による生産システムの設計(1)~(12), 品質工学, Vol.18, No.4, ~, Vol.20, No.3, 2012
・矢野 宏, 品質工学における技術の在り方(1)~(12), 品質工学, Vol.20, No.3, ~, Vol.23, No.1, 2015
・矢野 宏, 何にでも役立つ品質工学(1)~(13), 品質工学, Vol.23, No.2, ~, Vol.26, No.4, 2018
主な研究論文
・矢野 宏, NMS研究会有志, 技術者の在り方と品質工学の教育とのかかわりの検討, 品質工学, Vol.12, No. 2, pp.105-115, 2004
・矢野 宏, 安達範久, 井田吉人, 田井 茂, 金築利旺, 広島の品質工学の活動についての学校・企業・新聞のトライデント, 品質工学, Vol.15, No.2, pp.88-122, 2007
・矢野 宏, 五味伸之, 板井俊文, 神原憲裕, 堀 信夫, 久米原宏之, 部位のばらつきを考慮した射出成形品の寸法比による評価, 品質工学, Vol.16,No. 6, pp.33-41, 2008
・矢野 宏, 星 博也, 松原秀之, 大下健二, 山根 修, 安田宏和, 加藤正利, 光触媒空気清浄化装置の効果の評価, 品質工学, Vol.17, No.6, pp.100-106, 2009
・矢野 宏, 高橋康典, 山本浩幸, 小動物の運動能力の評価, 品質工学, Vol.18, No.6, pp.45-52, 2010
・矢野 宏, 中田絢子, 山村英記, 板井俊文, 徐世中, 中村哲夫, 電動式射出成形機における転写生と成形工程の診断・予測, 品質工学, Vol.19, No.5, pp.35-40, 2011
・矢野 宏, 八木恵介, 野田健次, 田村希志臣, MTシステムを用いた顔画像による個人識別の研究(3)-識別条件の影響-, 品質工学, Vol.20, No.3, pp.102-107, 2012
以上を含め、品質工学会誌掲載の研究論文(共著)147報、その他にも、人間工学、精密工学会誌、計測と制御等にも多数掲載。
主な受賞
1) 1997年 品質工学賞 論文賞 金賞,鴨下隆志,田端和人,岡野晴敏,高橋和仁,矢野 宏,マハラノビス距離による多次元情報システムの最適化 -火災報知システムの場合-(Vol.4 No.3)
2) 1997年 品質工学賞 論文賞 銀賞,高橋宗男,高田 圭,山内成志,矢野 宏,ソフトウェア誤り検出能力の評価に関する基礎的研究 (Vol.4 No.3)
3) 1997年 品質工学賞 論文賞 銀賞,杉山吉隆,高橋和仁,矢野 宏,生産工程における機械部品の管理の実態(Vol.4 No.2)
4) 1998年 品質工学賞 論文賞 銀賞,高橋和仁,阿部憲瑞,辻 千尋,矢野 宏,切削加工における動特性のSN比の研究 -L12直交表による網掛け実験の検討-(Vol.5 No.3)
5) 2000年 品質工学賞 論文賞 銀賞,中島尚登,高田 圭,矢野 宏,柴本由香,高木一郎,山内眞義,戸田剛太郎,健康診断データを用いたMTS法による予測の研究 -今年の健康から来年の健康を予測する方法-(Vol.7 No.4)
6) 2001年 品質工学賞 論文賞 金賞,高橋和仁,高坂槙治,星谷清春,矢野耕也,西内典明,矢野 宏,電力を利用した切削加工条件の最適化(Vol.8 No.1)
7) 2004年 品質工学賞 論文賞 銀賞,柴原直利,矢野耕也,関矢信康,嶋田 豊,寺澤捷年,矢野 宏,漢方問診データのMTシステムによる定量化の研究(1)~(3)(Vol.11 No.5,6)
8) 2005年 品質工学賞 論文賞 銀賞,三上英子,矢野 宏,耐熱性菌検出方法の検討(Vol.12 No.6)
9) 2006年 品質工学賞 論文賞 銀賞,高橋和仁,松田忠裕,鴨下隆志,早崎寛朗,矢野 宏,射出成形機における可塑化装置の最適化(Vol.13 No.2)
10) 2008年 品質工学賞 論文賞 金賞,兼高達貮, 鴨下隆志, 矢野 宏,MTシステムと肝疾患の診断(2) -T法(3)を利用した特殊健康診断の場合-(Vol.15 No.4)
11) 2010年 品質工学賞 論文賞 銀賞,吉田ゆき子,秋山幸示,谷津賢司,星野隆臣,矢野 宏,「品質工学により企業文化を変える」の定量化(1) -両側T法の適用の計画作成と解析- (Vol.17 No.3)
12) 2011年 品質工学賞 論文賞 銀賞,早川幸弘,水谷淳之介,山本桂一郎,鴨下隆志,矢野 宏,茨城地方の地震発生のパターンの定量化と予測(1) -つくば地区の地震パターン-(Vol.18 No.2)
13) 2014年 品質工学賞 論文賞 銀賞,金築利旺,原田真介,白川秀喜,桑原 修,岩垂邦秀,奥 展威,矢野 宏,トウモロコシ栽培条件の最適化研究(Vol.21 No.4) & サツマイモ栽培への品質工学の適用(Vol.21 No.1)
14) 2015年 品質工学賞 論文賞 銀賞,中井 功,井上克彦,矢野 宏,押込変形プロセス試験と引張変形プロセス試験の関連性の検討(1)(Vol.22 No.4) & 押込変形プロセス試験による材料の熱処理評価(2)(Vol.22 No.5)
15) 2017年 品質工学賞 論文賞 金賞,武澤泰則,天谷浩一,矢野 宏,ソフトウェア設計中の直交表導入による開発効率の効果と課題(Vol.24 No.2)
16) 2018年 品質工学賞 論文賞 銀賞,佐藤 誠,矢野 宏,裁判事例の分析による職場のパワーハラスメントの判断基準の検討(Vol.25 No.3)
17) 2021年 品質工学賞 論文賞 銀賞,青木規泰,矢野 宏,組み立て精度作業の能力評価(Vol.28 No.3)
なお、下記に、矢野先生のお言葉が多く記載されております。
・澤田 位, 矢野語録, 品質工学, Vol.28, No.1, pp.18-27, 2020
なお、上記の論文の多くは、下記からご参照いただけます。
J-Stage 品質工学
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/qes/-char/ja