理想を目指して 新たな品質工学の道
品質工学会の目指すところ,ビジョン30,大切にすること
目指すところ
品質工学の開発・研究を通じて、あらゆる分野における総合的な評価体系を提供することで以下に貢献します。
品質は 「ものやサービス」 が出荷後の機能のばらつきと使用・弊害による損失であるとする田口玄一博士の考えの基に機能のばらつきを評価し最適化する知識体系を作り上げる目的で品質工学の研究は、1970年代頃より始まりました。1980年代になると、品質工学に対する関心が高まることを機会に、品質工学の研究者や実践者にその前途の道をつけ、研究・検討・実施の発表の場を設け、お互いに情報交換を行おうとする有志により1993年にフォーラムという形式で品質工学会を設立しました。その後、今日まで25年の間、新しい品質工学の考え、手法を開発し様々な場を通じて実証してきました。これからも、その考え、手法を発展させていきます。
人は有史以来「ものとサービス」を作り出しそれを分かち合つて今日の文化と文明を作り出してきました。「ものやサービス」は必ず機能を含みます。品質工学が対象とする領域は、「ものやサービス」が提供・消費されるところにあり、あらゆる分野が対象となります。
「ものやサービス」を創造し提供するには、研究・開発・設計や生産活動が必要です。どの活動も、目的を決め、そして目的を達成する考えや手法を考案し、その考案が目的に対し十分機能するかを評価します。十分働く評価結果を基に判断し、顧客である消費者や使用者に提供します。しかし、現実は、理想どおり機能せず、様々な不具合や故障、欠陥、そして一部は環境間題などの望ましくないことが起きています。そのような望まないことは、結果的に社会損失を生じさせると考えます。
品質工学会では、そのような望ましくないことを防ぐには、「ものやサービス」を研究開発する源流で、評価の質を上げることの重要性に着目してきました。 機能が理想どおり働く度合いを機能性と考え、合理的な機能性評価法の研究をしてまいりました。これからも、様々な「ものやサービス」が開発・提供されてくると思います。品質工学会の活動の範囲は、「ものとサービス」を創造・提供する、あらゆる領域を対象としていきたいと考えていますが、その目指すところを以下に設定して活動します。
1. プロセスの生産性の向上
品質工学は、出荷後の「ものやサービス」の品質を損失と考え、機能性評価とその最適化を行い、使用者や消費者が使う前に予想される使用時の品質による損失を極小化しようとします。品質工学会は品質工学の普及とその領域を拡大し、「ものやサービス」の機能に付随する品質問題を提供する前から極小にできるよう活動をします。それは顧客や消費者が「ものやサービス」を使うときに生じる損失を最小化することになり、顧客の生産性を上げることになります。顧客の使用生産性の向上が目指すところとなります。
品質を最初から得るためには、目的に対して最適な手段を考案しそれを評価する必要があることを先に述べました。それらの行為は研究とか開発あるいは設計を含む商品化活動です。そのために、技術者や研究者を動員しますのでそこには経費や資材、そして時間が消費されます。品質工学会は、理想の活動からの乖離を損失と考え、提供者の供給生産性の改善も目指していきます。さらに、使用の生産性や提供者の生産性を上げるには「ものやサービス」の使い方や作り方に関する技術が必要です。私たちの品質工学の研究開発と普及を含めた生産性を高めること、つまり知の生産性を高めることが必要となります。そのために機能性評価とその最適化の考えと方法を改善することと、まだ見知らぬ分野を開拓していくことになります。
より多くの方に参加していただき、提供者側の生産性と使用者側の生産性とそれを支える品質工学の知の生産性を最大化していくことが目指すところになります。
2. 製品・サービスの創出
二つ目の目指すところは、製品・サービスの創出への貢献です。使用者側の生産性の向上は、時間、費用、人、場所などの余カを生じ消費のための余カを生み出します。より自由が創出され、より豊かにする「ものやサービス」が要求されると考えます。これに提供者は、応える必要があります。提供者側の生産性の向上は、開発、生産をするための人、もの、お金、時間、場所などの活動資源に余裕をもたらします。余裕をそのままにしておいては、最終的な生産性に結びつきません。新しい「ものやサービス」の創造に振り向けことが必要になります。新製品、新サービスを創出するには、先取りした研究・技術開発テーマの選択、それを達成するためのシステムの選択と設計、そしてシステムの選択とその設計の評価する価値創造活動が必要となります。品質工学会は、価値創造に役立つ機能性評価と最適化のための考えと手法の開発を提供し、価値創造の生産性向上を目指します。
3. より豊かで自由な社会の実現
品質工学会の最終の目指すところは、機能性評価とそれを用いた最適化設計の考えと手法を提供することにより、品質を通じた社会生産性の向上に寄与することです。生産性の向上により「ものやサービス」の創出と分かち合いが活発化し、より豊かで自由な社会に貢献していくこととなり最終的な目指すところになります。
新たな品質工学の道