品質工学会 日本規格協会理事長賞
第9回 品質工学会 日本規格協会理事長賞(2024年)
授賞の背景
[品質工学会日本規格協会理事長賞] は,品質工学に関連して広く日本の標準化活動に貢献すると考えられる成果に対し,一般財団法人日本規格協会より贈呈される賞である。 自薦ないし他薦による応募の中から,品質工学の継続的実践と普及活動をとおして,社会ないしは企業・団体への貢献が認められる個人ないしは組織体に授与するものである。
品質工学会日本規格協会理事長賞の本審査会を2024年1月26日に開催し、下記2件の応募に対して[第9回品質工学会日本規格協会理事長賞]の授賞を決定した。
受賞者
受賞者 | 二ノ宮進一 (日本工業大学 正会員) |
---|---|
推薦者 | 近岡 淳 (近岡技術経営研究所) |
受賞者 | マツダ株式会社 技術本部 ツーリング製作部 (代表:横山郁夫 正会員) |
---|---|
推薦者 | 安達範久 (マツダ株式会社) |
授賞理由
【授賞理由:二ノ宮進一氏】
二ノ宮氏は、企業人と学生の教育を通じた品質工学の実践と普及に力を注いでいる。現在は日本工業大学に所属し,3人の品質工学学生賞を輩出している。また、品質工学に関する執筆や講演を行い、各地で他学会や企業人向けの啓蒙活動を展開している。一方で,自身の専門分野である機械加工領域の研究においても発表や講演を行い,品質工学論文賞を含む賞を獲得している。
このような継続的で精力的な活動は大学内外における品質工学の実践と普及に貢献している。特に,学生への品質工学の教育についての指導や外部発信を積極的に行っており,将来を見据えた品質工学の普及という観点で貴重な存在である。
○標準化への直接的な貢献
IJIS Z 9061の原案作成委員として参画。その活動により2016年にJIS Z 9061 新技術及び新製品開発プロセスのための統計的方法の応用,ロバストパラメータ設計(RPD)が制定された。
日本規格協会 JIS Z 9061 新技術及び新製品開発プロセスのための統計的方法の応用,ロバストパラメータ設計(RPD)2016年12月制定
○品質工学会への貢献
品質工学会に対しては,自身の研究に加え教育機関の指導者として学生の研究指導を行った成果を大会発表や論文投稿することで活動を広く展開した。その結果として,論文賞1件,発表賞2件,学生賞3件の受賞を獲得しており,質の高い研究を行っていることが認められる。また,品質工学会への貢献・協力した会員に贈呈される貢献賞では2017年に金賞を受賞しており,学会への貢献も大きい。
○周囲(所属組織内外)への貢献
他学会(精密工学会,日本機械学会,砥粒加工学会,先端加工学会,他)、他団体(栃木県産業技術センター,長野県工業技術総合センター,他),および自身の所属団体(北陸職業能力開発大学校)での講演・セミナー14件,研究の発表や投稿7件,解説・紀要の投稿6件を行っている。品質工学の内容を産業/研究/教育の場に広く提示することで,品質工学の認知向上に貢献している。
○普及(基盤作り)の体制構築と活動
現在は日本工業大学に所属しており,大学院講義(生産工学特論)のカリキュラムの大半を品質工学の教育に充当している。博士前期課程の学生に対し品質工学を理解し各自の課題に対応できることを目指し,各学生の課題に対する機能・因子・直交実験計画などの具体的な検討を通じた実践力の向上を図っている。
また、組織外の教育者に向けて品質工学教育の紹介や,計測技術者向けの書籍による品質工学の適用方法解説を行うなど、積極的な啓蒙を行っている。
【授賞理由:マツダ株式会社 技術本部 ツーリング製作部】
マツダ株式会社 技術本部 ツーリング製作部は,品質工学によるモノ造りの生産性向上と付加価値創出を部門長のリーディングのもとで進めてきた。2011年から金型製作の暗黙知を形式知化するため技能の技術化を推進し,これまでに40 件の大会発表と7 件の大会受賞を得ている。これは他に例を見ない活動量・質である。
さらに,技術員の人材育成に品質工学を活用し,これまでの12年間で実践者の育成とテーマ活動を行っている。また,社内・社外(型技術者会議,型技術ワークショップ,薄鋼板成形技術研究会)での活動報告により品質工学の普及・浸透を行っている。
以上のような学会発表と受賞,および教育プログラムの継続は,本賞の受賞に値するものである。
○品質工学会への貢献
2011~2023年の間で40件の発表と7件の発表賞(金賞1件、銀賞7件)を受賞している。
品質工学会 受賞歴
・2018年 精密測定技術振興財団品質工学賞 発表賞 金賞「ヘミング曲げ金型における成形技術の向上」
・2023年 精密測定技術振興財団品質工学賞 発表賞 銀賞「金型設計初期段階における金型加工時間予測手法開発」
・他5件
品質工学研究発表大会発表:40件(2011~2023年)
○周囲(所属組織内外)への貢献
社内または社外(型技術者会議,型技術ワークショップ,薄鋼板成形技術研究会)での活動報告を行うことで,品質工学の普及・浸透に貢献している。
○普及(基盤作り)の体制構築と活動
技術員の人材育成プログラムとしても品質工学を積極的に活用し組織力の向上に繋げている。3カ年計画で品質工学を実践し,これまで12 年間で25 名の品質工学実践者の育成と62 件のテーマ活動を推進し組織の課題解決力の向上に繋げ,現在も教育体制を継続している。
このような組織的な品質工学活用体制の構築は部門長のリーディングで行われている。マツダ社内の実践・普及の黎明期を経て,DX やカーボンニュートラルなど世の中の技術や外部環境が著しく変化する中で,IOTやCAEと品質工学を融合させた解決手段を部門内に浸透させる活動を継続している。
お問合せ
品質工学会日本規格協会理事長賞に関するお問い合わせは,品質工学会事務局までお願いします。
品質工学会事務局 金野(こんの)
授賞・褒賞