品質工学会 日本規格協会理事長賞

第10回 品質工学会 日本規格協会理事長賞(2025年)

2025年4月12日
品質工学会 審査表彰部会

授賞の背景

 [品質工学会日本規格協会理事長賞] は,品質工学に関連して広く日本の標準化活動に貢献すると考えられる成果に対し,一般財団法人日本規格協会より贈呈される賞である。 自薦ないし他薦による応募の中から,品質工学の継続的実践と普及活動をとおして,社会ないしは企業・団体への貢献が認められる個人ないしは組織体に授与するものである。
 品質工学会日本規格協会理事長賞の本審査会を2025122日に開催し、下記2件の応募に対して[第10回品質工学会日本規格協会理事長賞]の授賞を決定した。

受賞者

受賞者 富山高等専門学校 品質工学研究グループ
山本桂一郎  水谷淳之介  早川幸弘 (富山高等専門学校 正会員)
推薦者  山本桂一郎(富山高等専門学校)

受賞者 畠山 鎮 (YKK株式会社 正会員)
推薦者 近岡 淳 (近岡技術経営研究所)

授賞理由

【授賞理由:富山高等専門学校 品質工学研究グループ】
 富山高等専門学校 品質工学研究グループは、教育機関に所属しながら、長年にわたり品質工学の研究、教育、普及に関し、顕著な成果を上げている。
 研究においては、1997年から継続して論文や学会発表を数多く展開しており、その結果として、論文賞/発表賞/学生賞を受賞している。教育においては、教育者として、富山高等専門学校でパラメータ設計や損失関数を講義し、次世代の品質工学技術者を育成している。普及については、学会理事や編集委員、学校教育委員会委員などを歴任し、品質工学の展開に積極的に協力している。
 以上の功績は、日本規格協会理事長賞の主旨である「品質工学の実践と普及を通した標準化推進と社会貢献」に合致するものである。
○標準化への直接的な貢献
 規格の運用において、品質工学関係のJIS規格やISO規格を学生や企業技術者に対する教育で広く周知することで、技術の標準化に貢献している。
○品質工学会への貢献
 学会発表は筆頭25件、連名17件と数多いが、その中でも論文投稿の多さ(筆頭38件、連名11件)は特筆に値する。解説の投稿が多いことが特徴であり、多くの学会員に品質工学の思想を伝えようとする意思が表れている。また、それら活動の成果として、論文賞/発表賞/学生賞の計9件を受賞している。
○周囲(所属組織内外)への貢献
他団体(電気系学会、砥粒加工学会、()日本トライボロジー学会、他)へ、多岐にわたる研究発表を行っており、品質工学の広範な応用分野への展開に大きく貢献している。
○普及(基盤作り)の体制構築と活動
 富山高等専門学校の専攻科において、品質工学の基本から応用までを教え、学生の卒業後に実践可能な知識を教育している。また、自組織内での品質工学の実践を発表し、その結果として、独立行政法人国立高等専門学校機構 国立高等専門学校教員顕彰 理事長賞* を2件受賞している。
 また、活動拠点として牽引してきた北陸品質工学研究会は、1994年に第1回研究会を開催して以降、毎月開催を継続しており、202410月には367回目を迎える。この継続的な活動は、品質工学の普及に大いに貢献している。さらに、「実践タグチメソッド(日科技連出版社 2006)」や「初学者のための品質工学-技術を理解するために-(コロナ社 2013)」などの著書を通じて知識の普及に努めている。
 
* 国立高等専門学校教員顕彰 理事長賞
 学校の管理運営、地域社会への貢献及び学生教育を中心とする分野において顕著な功績を挙げている教員を顕彰する賞。理事長賞は、各顕彰部門において、文部科学大臣賞に次ぐ業績を挙げている教員に贈られる。 
 
【授賞理由:畠山 鎮 氏】
 畠山氏は、セイコーエプソンとYKKに在籍した20年以上にわたり、品質工学の第一人者として、国内外、グループ会社、協力会社を巻き込んだ実践活用を牽引しており、プリンター評価から、オンライン品質工学、機能性評価、製造管理、デジタライゼーションなどの様々な分野で、顕著な数の発表を行っている。
 これらの研究発表は、産業界での品質工学の普及と発展に大きく貢献しており、品質工学会の論文賞や発表賞を数多く受賞するなど、高い評価を受けている。
 畠山氏は、高いモチベーションで品質工学の実践と展開を行い、多大な功績を残している。これらの功績は、日本規格協会理事長賞の受賞に相応しいものである。
○標準化への直接的な貢献
 品質工学に関連した国際規格/日本工業規格/各団体規格/社内規格の制定と運用に貢献してきた。 具体的な実績として、損失関数の活用、機能性評価の標準化、JIS Z9090の活用に対し、推進責任者や技術テーマのアドバイザーなどの様々な形でリーディングした。
○品質工学会への貢献
 2002年から現在まで、品質工学会において多数の論文発表(筆頭9、連名5件)と大会発表(筆頭17、連名49件)を行っており、特に発表件数の多さが顕著である。これらの研究発表は、産業界での品質工学の普及と発展に大きく貢献しており、品質工学会の論文賞や発表賞を計10件受賞するなど、高い評価を受けている。
○周囲(所属組織内外)への貢献
 品質工学会以外でも、ISSM2004(半導体生産技術国際シンポジウム)にて論文発表を行っている。
○普及(基盤作り)の体制構築と活動
 YKKにおいては、会社の上層部も巻き込んだ普及を進めており、年間16件程度の品質工学実践講座、品質工学課題解決定期指導会、機能性評価を活用した購入部品コストダウンプロジェクト、部品品質向上活動プロジェクト、品質工学を用いた技術マネージメント育成プログラム、を発起/牽引し、中堅エンジニアを育成中している。
 また、自組織外に対しては、日本規格協会、NEC山形、富士通会津、アジア生産性機構(APO)、自動車会社、化学会社など、多岐にわたる組織や企業に対して品質工学の指導を行ってきた。

お問合せ

品質工学会日本規格協会理事長賞に関するお問い合わせは,品質工学会事務局までお願いします
  品質工学会事務局 金野(こんの) 

  ・ TEL (03) 6268-9355  ・FAX (03) 6268-9350